新神戸オリエンタル劇場
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 新神戸オリエンタル劇場の公演に関連する、
 何らかのキーワードを掘り下げて綴るこのコーナー。
 記念すべき初回は、
 TEAM発砲・B・ZIN『テングメン』より、
 “天狗”のキーワードをいただきました!
 さぁ一緒に、天狗について紐解いてゆきましょう!
“天狗”と聞いて漠然と鼻の大きな容姿は想像できるけど、詳しくは解らないというのが皆さんの正直な感想ではないでしょうか? 天狗については日本各地、諸説色々あるのですが、まず、そもそも天狗とは何者なのか?という点について。
 
狗は観点によって捉え方の異なる非常に不思議な存在です。即ち宗教的な側面から捉えると神聖で霊的な存在であり、ところによれば神仏的な敬意を持って祀られています。しかし、ところによっては修行を重ねた山伏が霊力を身に付け変化した絶大的な力を持つ“山神”としての存在とされます(牛若丸が剣術を習ったとされる鞍馬天狗は、この部類)。けれど民間伝承によると魔物や妖怪の部類に扱われ、悪い印象に捉えられてしまったりします。こちらの例だと昔の人々は説明しがたい怪現象などは全部、天狗の仕業で片付けてしまっていた様子。片一方では崇拝され、片一方では恐れられる。なんと天狗とは不可思議な存在であると思いませんか?
 
は、そもそも天狗は実態の無い存在と考えられていました。山に入ると聞こえる不思議な音を“天狗囃子”、“天狗笑い”などと喩えることからも解るように“山の精霊”や“気配”として捉えられ、その頃の考えが山神=天狗の信仰に発展したと言えます。やがて時代が平安末〜鎌倉時代になると、霊魂であった天狗は、徐々に山に住む“実態”として気配から具体的な存在に考えられるようになり、鳥のような姿になったのは霊魂が飛ぶものと考えられていたからです。
室町末期の頃には現代のような天狗の姿が絵などで描かれ出すようになりました。そして江戸時代の頃には、天狗も知れ渡り、崇高な霊魂の存在だったはずが、どちらかというと物の怪や妖怪の一種のように人々の間で語られ出したりもしたのです。ですから天狗のイメージの変化は時代の流れと自然に対する価値観に密接な関係があり、山や自然に畏敬の念を抱いていた頃と、自然破壊に繋がる近代では天狗そのもののイメージが変化したのです。
 
の後、しだいに神隠しや病や怪現象を天狗の仕業と考えていた人たちも、科学の普及と、さらなる開墾や森林伐採による自然破壊により、やがて天狗の存在を民話や伝説の中へと追いやってしまったのです。天狗と“山”が切り離せない関係なのは山の神霊であるとはじめに考えられたことに起因します。
また天狗には大きく異なる2種類があります。ここが河童などと大きく違う点なのですが、鼻が高く大きい一般的な“大天狗”と、嘴を持つ“烏天狗”との2種類が存在します。大天狗に比べ、烏天狗は“小天狗”と称される場合もあります。天狗の絶対条件は幾つかあり、背には翼、手には羽団扇。金剛杖と太刀を持っているとされています。服装が山伏のスタイルであるのも天狗が山の神の化身とする諸説と、山伏が山の守護神と考えられていたことと結びついていると言えます。
 
国各地に散らばる天狗伝説ですが、特に8人(人?)が有名で、「愛宕山の太郎坊」・「鞍馬山の僧正坊」・「比良山の次郎坊」・「飯綱三郎」・「大山伯耆坊」・「彦山の豊前坊」・「大峯前鬼坊」・「白峯相模坊」と、きちんと名前まで残されています。
それにしても知れば知るほど天狗とは不思議な存在だと思いませんか? 鬼のように100%悪者でもなく、ヒョットコのようにユーモラスなだけでもなく、桃太郎や金太郎のように100%のヒーローでもなく…神秘的な要素と強さを持っているのが何とも魅力的ではありませんか!
text & Illustration/ Taro Kasai
◆プロフィール
笠井太郎
(TARO KASAI)
ライター&イラストレーター
札幌生まれ東京在住
創形美術学校卒業後、松竹シナリオ研究所を経て
市川崑監督の下に学ぶ。
その後、企業コピーライターなどを経て現在に至る。

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