夏もそろそろ終わりに差し掛かかろうとしていますが、夏の間ニューヨーク各地で行われてきた野外コンサートもいよいよクライマックスです。
ニューヨークが誇るメトロポリタン・オペラ(通称メット)の主催により「Met In the Parks」というイベントが8月22日から9月2日にかけて行われました。マンハッタン、ブルックリン、ブロンクス、スタテンアイランド、ニュージャージーなどNY周辺の公園で8回におよぶ公演が見られますが、いずれも無料。毎年恒例とはいえ、出演者、演奏家、スタッフの動員数、機材の移動、ステージ建設、音響設備などを考えても、かなり大掛かりなものであることが分かります。また、メットの功績はもちろんのこと、スポンサーである企業や市の芸術振興に対する積極的な取り組みに驚かされます。
今回ヴェルディの傑作「Rigoletto」と「La Traviata」が中心に演奏されていました。特に「La Traviata」(椿姫)はオペラの代表的作品として扱われていますが、高級娼婦であるヒロインが純愛に目覚め、束の間の幸福を手にしつつも、病魔に倒れるというドラマティックな展開で、親しみやすい曲と主演者による歌、豪華絢爛の舞台芸術が見どころとなっています。今年日本公演も果たしたメットですが、「Met
In the Parks」ではメンバーはがらりと変わり、Derrick Inouye、Joseph Colaner氏らの指揮、そしてワールドワイドに活躍する歌い手が招かれていました。
野外一杯に響き渡る美しい歌声と生のオーケストラの音が一体となって、場面1つ1つが彩られていきます。開放的な空間で、うっとりとするような旋律を我がものにできるのは極上の一時。野外の特設ステージでは演出面に制約があり、セットや主演者にあまり動きがない分、ストーリーがつかみにくいかもしれませんが、シーズンがスタートしてから室内のオペラと二重に楽しむ事もできそうです。
これらのコンサートを訪れるといつも驚かされるのは観客の態度。持参のキャンドルに火を灯し、ワイングラスを片手にゆったりと芝生でオペラを聞く人も見られ、ちょっとした工夫でその空間をも十分に楽しもうとする姿がとても印象的です。これもニューヨーク流「夏の楽しみ方」といえるでしょう。

【メトロポリタン・オペラ】
http:// www.metoperafamily.org
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