カシオペアやケイコ・リー他、強力なアーティストたちを迎えて行われてきた新神戸オリエンタル劇場のライブシリーズ「ORIENTAL
JAZZ AVENUE」。第4弾の主役は、いま日本でもっとも注目を浴びている女性ジャズバイオリニスト寺井尚子さん。2月にリリースしたニューアルバム『夜間飛行』を携えての全国ツアーの一環として行われる。

新作はオリジナルメンバーならではのライブ感あふれる仕上がり

「これまで4作連続、同じメンバーでレコーディングしているんですが、レギュラーバンドとして長年一緒に音を合わせてきたことで、個々の音が分厚く成長していく過程が作品ひとつひとつに現れていると思います。今回のアルバムは、曲順がレコーディングした順番に並んでいるのも特徴。たとえば最終日に録音した『遠い国の歌』なんて、ラスト1曲だというメンバーの安心感や解放感がイキイキとした演奏に現れていて、とてもライブ感ある仕上がりになっていると思いますよ」(寺井尚子)

作品を発表していく過程におけるバンドの成長や広がりが、結果としてその時々のアルバムの個性となって現れているのは、いかにも「バンド」という形態を大切にしている寺井さんらしい。今回のアルバムには、北島直樹さん(p)との合作も2曲収録。共作は初めての試みだ。

「『ジョイ・オブ・シンギング』をつくっていたとき、途中でアイデアが煮詰まって、それ以上前に進まなくなってしまったんですね。そのとき、ふと、北島さんならこれをどう発展させるかな、と思って尋ねたのがきっかけです。私がモチーフを提示し、それを北島さんが展開させていったんですが、やはり、長年一緒に音を合わせていて、互いに相手が求めているものを熟知しているので、満足のいく曲に仕上がりました」

理屈じゃない。音楽は、その人が心地いいと思えることが大事

「ジャズのライブには即興演奏がつきものですよね。毎回新しいアドリブのフレーズを即興で披露するためには、普段の生活のなかで常に自分自身をリフレッシュさせておくことが大切なんです。私の場合はそれが『お茶の時間』。どんなに忙しくても必ず1日に30分間、美味しいお茶を飲みながら自分ひとりでゆったりと過ごす時間を作っています」

表情豊かに、寺井さんの内側から湧き出てくるアドリブ・ソロのフレーズたち。そのインスピレーションの源となるのは普段の生活の中に組み込むゆとりの蓄積だという。今回の公演に対し、「興味はあるけどジャズの知識がないから…と敬遠している方も、きっと楽しんでいただけるライブになると思います」と語る寺井さん。

「オリエンタル劇場は客席がアーチ状になっているので、ステージの上に立っていると、お客さんに包まれているような安心した気持ちで演奏できるから好きなんですよ。ライブでは、演奏を重ねるごとに、曲たちがどんどん成長し発展していく様子を感じてもらえたらうれしいですね。ジャズファンの方はもちろん、ジャズはよくわからない、という方にも聴いていただきたい。音楽は、その人が聴いていて心地いいかどうか。それだけでいいと思うんです」 |