新神戸オリエンタル劇場
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2006.5.29〜30

◆「劇団道化座」とは?

結成から56年、神戸を拠点に演劇活動を続ける劇団道化座は「普段の生活の中にこそドラマがある」をコンセプトに、誰にとっても身近な世界を演じ続けてきた。
神戸を舞台に、関西弁を使って演じる。それによって、身近な世界を生きる自分たち自身を演じ、それを観る観客たちから多くの共感を得てきた。特に、阪神・淡路大震災を経験した劇団であることから震災をテーマにした演劇に対する思い入れは深く、1996年には演劇活動を通じて同じ被災者の人々に勇気と感動を与えた功労が認められ『日本演劇興行協会賞』『神戸新聞社社会賞』を受賞している。

◆上演作のあらすじ

今回上演する最新作《ともに生きるシリーズ5》「父の遺産」は、誰にとっても身近な「家族」の物語である。
かつて海の男として荒波を乗り越えてきた源吉は、老境に入り船を降りてからは娘夫婦や孫たちと暮らす穏やかな老後を送っていた。そんなある日、源吉が発したささいな言葉が家族全員を巻き込む口論へと発展し、ついに源吉は家を飛び出してしまう。源吉が向かった先は、妹が住む飛騨高山だった。しかし、年老いた身体に鞭を打つ源吉は高山で倒れてしまう。知らせを聞いて駆けつけた家族は、源吉の口からこれまで隠し通してきた「遺産」の話を聞くことになる。源吉が残した「大いなる遺産」とは何か?そしてそれは、家族のありかたに何をもたらすのだろうか?

◆「日常」というドラマ

「普段の生活の中にこそドラマがある」といっても、その生活に慣れてしまった私たちは、そこに潜むドラマに気が付くことは少ない。劇団道化座が創造する世界は、ごく当たり前の日常であり、誰もが抱える小さな悩みや葛藤である。しかし、小さな悩みや葛藤は、時に小さなほころびを産み、時にそれは大きな裂け目へと発展する。
今回上演する「父の遺産」は、そんな日常の小さなほころびから大きな裂け目へと広がる物語である。そして、その裂け目を食い止め、もう一度紡ぎあわそうと試みる「家族」の物語である。
「道化座の芝居を観ると元気が出てくる!」。そう言った観客がいた。自分にとって身近な存在である家族でも、道化座のお芝居を観ることで改めて気が付くことや考えさせられることを発見することができる。「元気が出てくる!」と言ったお客さんは、自分の生活の中にあるドラマに気が付いたのかもしれない。
 
◆世界をつなぐ

1973年から中国との演劇交流を始め、これまでに十回以上の訪中公演を果たしている。また、2000年には韓国との演劇交流を開始するなど、アジア諸国への積極的な活動を続ける道化座の演劇は海外においても高い評価を得ている。言葉や文化に違いはあれど、「日常」という世界を描く限りは同じ人間として通じ合うものがあると劇団は考え、今後もインターナショナルな活動に励んでいく。
劇団道化座が演じる「日常」とは、ものすごく小さな世界かもしれない。だが、そのドラマを神戸から世界へと発信し続けていくことで、道化座独自のお芝居は人間を紡ぐ大きな役割を果たしているのかもしれない。
 
text / Yugo Makimoto

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