新神戸オリエンタル劇場
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2007.3.31〜4.1

 花組芝居、20周年記念公演の第一弾となるのが本作、「かぶき座の怪人」。1989年に初演され、2001年に共同脚本家の形で福島三郎氏(泪目銀座主宰)を迎えて再演され、いずれの公演でも話題を集めた作品だ。まずは「かぶき座の怪人」誕生のいきさつから、主宰の加納幸和氏に語っていただいた。
 
 「1988年に劇団四季さんの『オペラ座の怪人』が大変話題になっていたときに、ほんの冗談で『花組だったらかぶき座の怪人だね』なんて話をしていたのが現実になったのが89年の作品です。この時は自分が一人で脚本を書きました」
 
 劇団2年目の作品ということで、力を入れて作ったけれどもまだまだ稚拙な部分もあったと話す加納氏。また、歌舞伎の世界にまつわるスキャンダラスな部分を少々、暴露気味に扱っていたという事情もあり、しばらくの間、再演することは控え、違う視点を持った「かぶき座の怪人」を作りたいと思っていたという。
 
 「ちょうど21世紀の最初の年だった2001年に、そろそろ取り上げてみようと思ったのですが、いつも古典をモチーフに脚本を書いていたこともあり、等身大の人間を描くのが少し不得手な気がしていて。そこで、懇意にしてもらっている福島さんに、人間ドラマの部分を主に描いていただいて、劇中劇の部分を自分が描く、という構成になりました。
 『オペラ座の怪人』は恋愛ドラマですが、男ばかりの歌舞伎の世界ではそのまま恋愛を描くことは出来ませんので、2001年版では新劇の女優さんと歌舞伎の役者さんの恋愛ドラマ、という形で、そこを実現しています」
 
 本作は、基本的にこの2001年版を元にしたものではあるが、現代を舞台とする上で、世相や風俗、また歌舞伎界のさまざまな話題の移り変わりなどを考慮して、脚本や登場人物に手が加えられているとのこと。最後に、20年の節目に本作を上演する意味を伺った。
 
 「20周年ということで劇団員の幅も増え、やれる芝居の幅も広がってきています。歌舞伎がこれからどうなっていくのか、というところに批評性を込めつつも、歌舞伎を愛するものとして、歌舞伎がしっかりしていてくれないと花組芝居も活動がしにくいという、花組なりのメッセージと言えるかもしれません。
 劇団を立ち上げたときには、ちょうど歌舞伎がブームだったこともあって、それに乗っかる形もあり、表層的なイメージでマスコミに取り上げられたこともありました。
 そういう流れに対する反発もあり、歌舞伎から題材を取らないような作品を作ったりした時期もあります。それは形だけではなく、歌舞伎の本質的な面白さを探るという実験的な意味で、自分たちの守備範囲をどんどん拡げてきた20年だったように思います。
 そんな中で、歌舞伎やその周辺にもさまざまな試みに成果が出てきていることや、ゆっくりとした流れではあるけれども、歌舞伎役者さんや芝居の内容についても世代交代が進んでいることで、逆に花組芝居の活動がその中に埋もれつつある、という印象もある。ここで再び、歌舞伎という物を見直してみなくてはいけないのではないかと。その活動の第一弾が『かぶき座の怪人』というわけです」

text / Osamu Kato

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