
◆あらすじ
神戸に暮らす明子一家。
亡くなった夫・幸一の七回忌も身内だけで無事に済ませ、幸一が残した三人の娘たちと明子は今日も賑やかな朝を迎えていた。そこへ突然、広島に住む義父・源吉から神戸に来るとの知らせが届いた。しかし明子には、義父が神戸を訪れる理由が分からない。なぜなら、明子と幸一はその結婚を源吉に反対されたために半ば駆け落ちをするようにして神戸で世帯を持ったのだからだ。
翌日、突然現れた源吉の姿に明子と娘たちは戸惑う。めっきり老いた源吉は三人の孫娘の姿に目を細め、震災で亡くした息子幸一を偲ぶ。そして源吉は、記憶の中の広島へと思いを馳せる。原爆が投下されたあの"広島"へ…。
源吉の戦争体験を痛く心に受け止める明子たち。
源吉が神戸に訪れた目的は、原爆の後遺症を友人の河合医師に診てもらうためだったのだ。
源吉の検査結果が知らされた夜。家族一同で小宴を開き、夕闇の中で小さな花火大会が催された。
こうして少しずつ、源吉と明子たちの気持ちが和んでいく。そして明子は、祖父の住む部屋をここに造るという亡き夫幸一のプランを源吉に提案した。嬉しく心弾ませ、源吉はそれを土産に、次の日広島に帰っていく。…源ジイジイの夏は終わった。
◆ともに生きる“Live Together”
劇団道化座は、大震災により一瞬にして瓦礫と化した神戸から立ち上がった。
あれから12年の時が経ち、神戸の街並みから震災の痕跡を見ることは少なくなった。しかし、今でも神戸に暮らす人たちの心には確かに傷が残っている。戦争とは異なるが、震災で負った心の傷や復興の中で学んだ人と人との繋がりは被爆した広島の人々に通じる体験だった。
現在、核廃棄の声の高まりから核兵器を放棄する国々がある一方で、核開発を進める国も確かに存在し、戦争のための実験を繰り返している。
日本にとって戦争が終わったあの日から時が経つにつれて、核兵器や戦争の愚かさを誰よりも説得力を持って語れる被爆者たちがいなくなっていく。
《ともに生きる》シリーズ最終編は、震災体験を持つ道化座だからこそ迫れる"広島のこころ"を舞台に描き演劇文化を通して、ともに生きる“Live Together”のメッセージを発信している。
このメッセージは、戦争に明け暮れ、兵器の開発に余念のないどこか遠くの国に発するものであると同時に、自分と自分の周りにいるごく身近な人たちに向けた“平和”への呼びかけなのだ。
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