新神戸オリエンタル劇場
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2007.8.10

いのちをテーマに描いた絵本として有名な「葉っぱのフレディ〜いのちの旅」。その原作である、レオ・バスカーリア作「The fall of Freddie the leaf」をミュージカル化した『Freddie〜少年フレディの物語〜』は、2000年の初演以来、全国で上演され、すでに140回を数えるロングラン公演だ。今回の神戸公演に際し、主演の島田歌穂さんに、自らのライフワークとも言えるこの作品に対する思いを語っていただいた。
 
「当初このお話をいただいたときは、着ぐるみを着た葉っぱの役かと思ったんですけど(笑)。ミュージカル化にあたって、主人公は10歳の少年に置き換えられました。フレディという少年が原因不明の病気で入院。病室の外に大きなカエデの木があるんですね。そのカエデが季節ごとに移り変わる様子を見ながら、フレディが自分自身と向き合っていく、というお話です。いのちや死がテーマですが、決して重々しく悲しい話にはするまい、と配慮しました。演奏者は5人、出演者もたったの7人という究極にシンプルなステージで、お客様の心に何かを残していける作品に仕上がっています」
 
――原作を読まれたときの印象はいかがでしたか。
 
「原作の絵本は、葉っぱたちの会話だけで成り立っています。数少ない言葉でありながら、何かを一方的に押し付けることなく、読み手に自由に考えさせてくれるところに非常にすがすがしさを感じたんですね。そのときの絵本の読後感を、ミュージカルでも大切にしていきたいと思い、フレディが最後に死を迎えるシーンも、見ている方が自由に感じていただけるようなものにしています」
 
――公演の回数を重ねていくにつれて、よりクリアに見えてきたものとは何でしょう。
 
「フレディが初めて死を考え始めたときに、友人のダニエルが『死ぬっていうことは変わることなんだよ。だから怖くないんだよ』と言う場面があるんですね。そこは毎回、演出の忠の仁さんやダニエル役の堀米さんと真剣に話し合い、とにかく余計なものを省いて、シンプルに伝えていくことをめざしています。どれが正解かというのはなかなかわからないので、いろんなトライをしていますね」
 
――10歳の少年役を演じるに当たって、どのような点に気をつけていらっしゃいますか。
 
「少年役なんて初めてだったので、最初はどうしたらいいんだろうと思って、少年が主人公の映画を見たり、少年ウォッチングをしたりしましたね。また、近所に知り合いの息子さんがいるので、『いまゲームで何が流行っているの?』とか、男の子と会話することでかなりリサーチしました。また、演じるにあたっては、“子どもぶる”ことのないようにしています。意外と10歳くらいの男の子って、子どもというよりは“男ぶる”んですよね(笑)。
お稽古に入ったら意外と何の苦もなく男の子になれました。わたしをよく知る友人は、『いままでの中で一番、素の歌穂に近いんじゃないの』って。すごくラクに自由にしていたら、自然にフレディになれたというところがあります」
 
――東京以外で2回目の公演は神戸が初だそうですね。今回の神戸公演に関しての思いを聞かせてください。
 
「時々、仕事で神戸に行くことがあるのですが、いまだに町の中には、被災した建物が一部残っていたりするのを目にして、復興していくことがいかに大変なことかと感じていました。普段、私たちは普通に生活をすることのありがたみを忘れがちですが、実際に震災に直面して命の大切さ、重さ、生きていくことの大変さを理解していらっしゃる神戸の皆さんだからこそ、より『Freddie』という作品の意味を深く感じていただけるんじゃないかなと思っています。気持ちをひきしめて神戸のお客様にまっすぐな思いをお伝えしたいですね」
 
『Freddie』が描くものは、私たち生きるものすべてにとって普遍的なテーマ。死とは、身体が成長することと同じように命の変化のひとつであり、自然なことなのだ。また、命はまた別の命を育て、永遠につながっていく。そんなやさしくも深いメッセージがこの作品には織り込まれている。「私が少年役をできなくなったら他の人に引き継いででも、ずっと語り継いでいきたい作品」と語るほど、『Freddie』に対する島田さんの思いは熱い。
島田さんは、現在、大阪芸術大学で教授も務めている。そこでは「教える」というよりは、自分がこれまで現場で経験してきたことを精一杯「伝えて」いきたいそうだ。ミュージカル『Freddie』も同様に、観る人々の心に多くのことを伝えてくれることだろう。
text / Miho Nogami

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