新神戸オリエンタル劇場
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しなやかで力強いバイオリンと、心地よいグルーブ。
音に魅了された春の夜の夢。
るやかにジャズのBGMが流れる劇場内。満員の客席を見渡すと、若い女性や年配のご夫婦、サラリーマン風グループなど幅広い層の人々で賑わっている。これから始まる宴を心から待ち望んでいるといった表情。やがて客電が落ち、まずステージにバンドメンバー4人が登場。最後に寺井尚子さんがバイオリンを携えて、にこやかに現れた。“華がある”とはこういうことかと、改めて実感。寺井さんが中心に立っただけで、バンドの輪郭がくっきりと浮き出し、ステージが引き締まったように見えたのだから。

ずはニューアルバム『夜間飛行』より「ラ・クンパルシータ」。オープニングを飾るにふさわしい、力強く生き生きとしたサウンド。リズムに合わせて軽くステップを踏みながら踊るように全身でバイオリンを弾く寺井さん。情熱的なソロの後には思わず観客から称賛の拍手が湧き出るほど。

曲目はアルバム『All For You』から、さらにライブ感の増した「おいしい水」。そして再び『夜間飛行』から「バードランド」と「バラのひとりごと」を披露。伸び伸びと快活なバイオリンソロにまたもや拍手の嵐が沸き起こった。
続く「ビ・バップ」は、転がるように速いテンポの曲で、見ているこちらも手に汗握り、思わす身を乗り出したくなるほど。バイオリン、ギター、ピアノ、ドラム、と順に披露される白熱のソロプレイは圧巻だった。次は一転して、夜が落ちてきたかのように静かなバラード「AND HERE YOU ARE」。力強いバイオリンの音色が印象的な「ガリシアの夜」。

憩を挟んで後半へ。
明るく伸びやかな「JOY OF SINGING」、「少年時代」、マイルス・デイビスのカバー「天国への7つの階段」をたてつづけに披露。
「もうすぐ夏がやってきますね」
そう紹介して始まったのは、今夏の蚊取線香のCM曲となる「LAZY ANGEL」。ゆったりと穏やかな音色ですっかりリラックスしたかと思えば、次は「リベルタンゴ」。力強く刻むリズムラインの上で嵐のようにうねるバイオリンの鬼気せまるような迫力ときたら! 続いて、デビューアルバムから「出会い」。そして本編最後の曲は、アルバムのタイトルでもある「夜間飛行」。CDよりもさらに疾走感が増し、地を震わすようなカホーンの響きとあいまって、本編ラストを飾るにふさわしい盛り上がりとなった。

ンコールでは「ラグな気分で」と「The Good Life」。それでも客は物足りない。あと一曲!と、鳴り止まないアンコールに応えて、最後に「朝日のようにさわやかに」を演奏してくれた。寺井さんの華麗でありながらパワフルでアグレッシブな演奏。また、寺井さんを中心としたバンドメンバーたちの息のあったグルーブ。会場から曲に合わせて手拍子が起こる。みんな楽しそうな笑顔。「また会いましょう!」そこにいる全員が同じ思いをこめて、心地よい一体感に浸っているうちにコンサートは幕を閉じた。いつまでも余韻の冷めない会場には、大きな拍手喝采が長い間、響いていた。
text / Miho Nogami

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