『ENDLESS TRIP』はそんなシリアスで緊張感漂う展開で幕を開ける。そして話は、美しく成長した盲目の少女ジュンと彼女を守るカケル、リコ、ケンゴらの若者たちの戦いと、100年の時を隔てた2006年の地球に住む、ジュンと同じ盲目の美少女マキと彼女を取り巻く人々の物語がめまぐるしく絡み合った末に、衝撃の結末へと一気に突っ走る。

強大な権力によって圧政が敷かれる暗黒社会、それを崩すのは同じ「強さ」の力なのではなく、一つ一つは弱々しくても、お互いがそれを信じ合い、かばい合っていく「つながり」の力なのだ。無理に押さえつける暴力は、自然と高まっていく心の力には決して対抗できないのだ、というのがこの舞台のテーマの一つになっている。そしてこのメインテーマと密接に関わりながら語られるのがジュンとカケル、マキとツヨシという、100年を隔てた二組のカップルの淡い恋物語。その恋には悲しい結末が待っているのだが、ストーリーはそれでもなお、信じる心の「つながり」は途切れたりはしないのだ、という強いメッセージを残して幕を閉じる。悲しみを残しつつ、そこには一筋の明るい希望が残される。

ジュン/マキを演じる森下仁佐恵はかわいらしさの中に強さをたたえた理想のヒロイン。ジュンを守る三人の若者(ネオアースに遺伝子操作さている、という設定。石原善暢、宇田学、蓮森美どり)のキャラクタの描き分けは戦隊モノを思わせる手堅い造り、対する現代側のヒーロー、ツヨシ(山根基嗣)の、どっちつかずの気弱な今風の若者が、巻き込まれた事件の中で徐々に強さを見せていく過程を見るのも楽しい。はまりすぎるくらいはまっている悪役、キガミ(植村好宏)とシリアスな展開の中、時折挟まるテンションの高いコメディパートを担当するチェン(東本康裕)、アツコ(柏村有美)の怪演にも注目。

ストレートなストーリー展開の中、100年先と言わず、今現在の私たちも漠然と抱えている「世界」に対する不安感に対して、それを吹き払うように「希望を捨てない限り、未来はなくなったりしないのだ」というすがすがしい呼びかけが、『ENDLESS
TRIP』には込められている。
|