新神戸オリエンタル劇場
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闇にうつろうフード姿の人影。それが荒廃した100年後の世界の最下層で生きる人々。彼らの希望はいつか現れると言い伝えられる救世主。だが強大な権力を持った軍事組織“ネオアース”は、反抗の芽を片端から引き抜いていく。そんなある日、致命傷を負ってとある教会に逃げ込んだ一人の女。その傍らには盲目の少女が。一目彼女を見たときから、シスターにはこの少女が何か特別な力を持った存在であることが感じられた。彼女を殺してはならない。そう決意したシスターは、かつてはネオアースに所属していながら、人間らしい心が捨てきれず組織を抜け、彼女の元に残った三人の若者に少女を託し、自らは盾となって彼らの逃亡を助けるのだった…。
『ENDLESS TRIP』はそんなシリアスで緊張感漂う展開で幕を開ける。そして話は、美しく成長した盲目の少女ジュンと彼女を守るカケル、リコ、ケンゴらの若者たちの戦いと、100年の時を隔てた2006年の地球に住む、ジュンと同じ盲目の美少女マキと彼女を取り巻く人々の物語がめまぐるしく絡み合った末に、衝撃の結末へと一気に突っ走る。

大な権力によって圧政が敷かれる暗黒社会、それを崩すのは同じ「強さ」の力なのではなく、一つ一つは弱々しくても、お互いがそれを信じ合い、かばい合っていく「つながり」の力なのだ。無理に押さえつける暴力は、自然と高まっていく心の力には決して対抗できないのだ、というのがこの舞台のテーマの一つになっている。そしてこのメインテーマと密接に関わりながら語られるのがジュンとカケル、マキとツヨシという、100年を隔てた二組のカップルの淡い恋物語。その恋には悲しい結末が待っているのだが、ストーリーはそれでもなお、信じる心の「つながり」は途切れたりはしないのだ、という強いメッセージを残して幕を閉じる。悲しみを残しつつ、そこには一筋の明るい希望が残される。

ュン/マキを演じる森下仁佐恵はかわいらしさの中に強さをたたえた理想のヒロイン。ジュンを守る三人の若者(ネオアースに遺伝子操作さている、という設定。石原善暢、宇田学、蓮森美どり)のキャラクタの描き分けは戦隊モノを思わせる手堅い造り、対する現代側のヒーロー、ツヨシ(山根基嗣)の、どっちつかずの気弱な今風の若者が、巻き込まれた事件の中で徐々に強さを見せていく過程を見るのも楽しい。はまりすぎるくらいはまっている悪役、キガミ(植村好宏)とシリアスな展開の中、時折挟まるテンションの高いコメディパートを担当するチェン(東本康裕)、アツコ(柏村有美)の怪演にも注目。

トレートなストーリー展開の中、100年先と言わず、今現在の私たちも漠然と抱えている「世界」に対する不安感に対して、それを吹き払うように「希望を捨てない限り、未来はなくなったりしないのだ」というすがすがしい呼びかけが、『ENDLESS TRIP』には込められている。
text / Osamu Kato

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