これがすべて人の声だけで生み出されているなんて、にわかには信じがたいくらいの音圧、安定感である。すごい!しばらく、その神業のようなハーモニーに聴きほれ、歌の世界に浸っていたのだが。
「ホームタウン神戸に帰ってきたでー!」
曲が終わると開口一番、メンバーの前澤氏がニコニコと挨拶。さっきまでのシリアスな表情はどこへやら。MCになった途端、くだけた雰囲気になるメンバーたち。それぞれが最近の活動状況や面白エピソードなどを語り、会場を笑いの渦に巻き込む。さすが長年一緒にやっているだけあって、歌声だけでなくトークの間合いも抜群!きっと素の彼らもこんな感じで、普段からメンバーの仲も良いのだろうな、と想像できてしまう。そんなチームワークの良さ、飾らないキャラクターもチキガリの魅力のひとつなのかも。

今回はニューアルバム『FOUNDATION』の発売記念ライブということで、アルバムからの楽曲が中心だ。女性ボーカルの曲を男性の彼らがカバーして歌うという試みは、どうやら大成功のよう。どの曲も原曲の良さはそのままに、チキガリならではのオリジナルな味付けが加わったことによって、新たな個性をもつ楽曲に生まれ変わっていた。もちろん、新曲以外に過去のオリジナル曲やライブでの定番曲もたっぷり披露。美しいハーモニーに酔いしれる場面あり、アップテンポなリズムにオールスタンディングで手拍子する場面あり、あっという間に2時間が過ぎていった。

ラストの曲は、マイクを使わず生歌で披露。今日は地元・神戸でのライブということで、彼らがデビュー前に路上で歌っていた頃のことを思い出しながら、神戸のみなさんに感謝の気持ちをこめて歌を贈るという。静かなホールの中に生の歌声がやわらかく広がり、ともすれば、ここが街中のストリートで、すぐ目の前で彼らが歌ってくれているかのような錯覚を覚える。地元ならではの観客のあたたかいまなざしを彼らも感じているのだろう。本当にしあわせそうなメンバーの表情に、またこちらも心が和む。

彼らの音楽が多くの人に支持されてきた理由、それは技術的な面もさることながら、何よりも歌にこめられた「想い」の部分に共鳴できるからではないだろうか。今いる場所がどこであろうと、彼らの歌声は変わらない。そして、これから彼らがどれだけ大きな存在に成長したとしても、彼らの音楽に対するスタンスはきっと変わることがないだろう。そして今後、チキガリがどういう方向に成長し、またどんな新しいチャレンジをしてくれるのか。早くも次の展開が楽しみで仕方がない。
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