新神戸オリエンタル劇場
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1995年1月17日未明。阪神・淡路地域の大地は凄まじい咆哮と共に揺さぶられ、巨大な爪痕を残していった。その日、そのとき、想像を絶する災害現場にあって、拭いきれない無力感と共に救助の日々を戦い抜いた男女の姿があった…。
して10年、彼、彼女たちは今もなお、同じ現場で同じ戦いを続けている。神戸湊山消防署、中隊長桜井指令に率いられる消防、救急、そして救助のエキスパートたち…。

防の現場にいるものならば誰もがあこがれる、オレンジの隊員服を着る救助隊員、小日向や石丸。だが普段の彼らはいい加減で、乱暴で、少々ちゃらんぽらんに見える湊山暑の一員に過ぎない。日本屈指の訓練の厳しさに憧れ、はるばる青森からやって来た新人、袋小路も混じってその日常は賑やかだ。だが、ひとたび災害が発生すればそんな彼らの顔つきはがらりと変り、鍛え抜かれた戦う人々に変貌する。日常にちりばめられるおかしさと、災害現場で見ることになる厳しい顔つきと迷いのない動きのギャップが、見るものに新鮮な感動を呼び起こす。

難極まりない災害救助の現場における彼らには、かつての震災で感じた無力さと、ぶつける先の見えない怒りがエネルギーとして体中にみなぎっている。劇中で回想される1995年の湊山消防署の戦いのシーンでは、湊山暑の面々が感じたそんな気持ちが客席にも伝わり、あちこちでハンカチを取り出す人の姿が目に入る。そう、何よりこれは私たちの街で起きた、本当の話なのだ。そして私たちは、あの現場にあってあきらめを知らず、戦うことを決して止めなかったたくさんの人々がいたことを知っている。たくさんの小日向が、石丸が、あの日私たちの街にはいたのだ。

去の痛みを胸に戦う男たち、彼らに憧れ彼らと同じ高みを目指す若者たち、その周りで時に気遣い、時に励まし支え続ける多くの人々の気持ちは、客席にいる私たちの記憶を仲立ちにして神戸の街に還っていく。しみいるような気持ち、とはこう言うものだろうか。

団PEOPLE PURPLEの公式サイトには、「10周年とか20周年とか、関係ありません。私達は忘れないために、公演を続けます」という一文を見ることが出来る。あの日あったさまざまなこと、人々は何をしたのか、何ができなかったのか、あのときの記憶は今、私たちが生きている毎日のなかでどう息づいているのか。何周年記念だから思い起こすのではない。忘れてはいけないことだから憶えておくのだ。小さな事かも知れないけれど、それもまたあきらめを知らない戦いなのだ、と教えられる。「ORANGE」はそんな芝居だ。   
text /Osamu Kato

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