新神戸オリエンタル劇場
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オマエがヨソ者なだけやろ、と言われればそれまでだが“神戸ロック”の系譜や歴史というのは、大阪や京都と比べるとあまり語られる機会が少ない。最近であれば全国的にブレイクしたガガガSP、ロックじゃないが有名どころでは綾戸智絵や花*花、あるいはSAKURAやorange pekoeなど、神戸発を感じさせるミュージシャンは結構多いのだが、その流れのルーツ・オブ・ルーツは?となると、即答できる人はやっぱり少ないと思う。ゴールデンウィークの最終日に開催されたライブ・イベント『おっさんが真赤に萌える日〜ターボー還暦リサイタル』は、まさにその答えを一晩で解き明かしたような、濃密で強烈、そして心温まるエエ音とエエ話に満ちた夜だった。
ころで、この日の主役は、ウッドストックが行われた1969年に神戸にオープンした老舗ミュージック・バー「アート・フラワー」のオーナーとして知られる“ターボー”こと呉屋多聞通(くれや・たもつ)氏。この神戸の音楽シーンの歴史を黎明期から見つめ続けてきた“生き証人”が60歳を迎えるバースデーに合わせて開催された一大イベントは、まず劇団AKAONIによるターボー氏が生まれてから現在に至るまでを演じたアクトから幕を開けた。

後の出生時から少年時代、そしてリアルタイムでビートルズに出会って衝撃を受け、自らもエレキ・ギターを手にして音楽活動を始めながら、22歳の時にアート・フラワーをオープン。ロックが今みたいに当たり前のものじゃなかった頃の、いい話。そんなオープニングを経てバンドが演奏を始めると、ロック流儀の還暦ということで、真っ赤なカウボーイ・ハットとウェスタン・シャツでキメた主役が登場! 元・憂歌団の島田和夫を含むツイン・ドラムス、ホーン隊、ハモンド・オルガンに、M-BANDの盟友=岩田浩史のブルージーなギターが冴え渡るゴージャスな大所帯バンドを従えて、70年代前半あたりのグルーヴ豊かなロックを思わせるオリジナルを悠々と聞かせてくれた。

拶代わりに2曲ほど披露し、続いては還暦の祝いに集ったゲストが次々と登場したのだが、この並びが凄かった。まず最初にステージに現れたのは、永遠の名作アニメ『ルパン三世』の主題歌での哀愁と男気に満ちたボーカルで知られるチャーリ−・コーセイ! ピアノだけをバックに、ジャジーで切れ味の鋭いギターを弾きながら“足元に絡み付く/赤い波を蹴って〜”と、故・山下毅雄のペンによる誰もが知るあの名曲は、神戸のバーで大事に歌い継がれながら、より深みと渋みを増していたのだった。この1曲だけでも充分にノックアウト級だったが、代わっては豪腕ベーしストとして関西の音楽シーンを支え続ける天野SHOがドラムに島田を含むトリオ編成で登場して、シンプルかつグルーヴィーなブルース・ロックを立て続けに。

の後も、“神戸が生んだプレスリー”として知る人ぞ知る中川シゲオが、まさにルックスも唱法もマイク・パフォーマンスもエルヴィス直系を貫いた、クレイジーケンバンドの剣さんを彷佛とさせる熱演で場内を沸せれば、ギタリストの法田勇虫はハードロック調の曲で圧倒的なテクニックを披露した後に、一転してターボー氏のボサノヴァ調の名曲「小さな願い」でも好サポート。さらには、ゴスペルも体得したソウルフルな歌声で知られるベテラン女性ボーカリストの小林エミも登場と、神戸の音楽シーンを語る上で欠かせない要人・実力派が一堂に会して、ターボー氏の還暦を自らのプレイや歌声で祝福した。

こで一旦休憩を挟み、後半の始まりのトークには、これまた神戸のロックを語る上で避けて通れない元ノヴェラで現在はACTIONを率いる高橋ヨシロウが駆け付け、ターボー氏とM-BAND岩田の三者で、お互いの出会いや思い出を語り合った。そして、トークもたけなわになったところで、今度はターボー氏の実の息子さんがステージに登場し、息子から父親へと直々にプレゼントとして鮮やかなまでに“真っ赤”なエレクトリック・ギターが手渡された。そのギターを手に、終盤のシメは再びこの日の主役をフロントマンとするバンドに戻って、自らが「アート・フラワー」を運営する傍らで紡いできた曲を次々と演奏して本編を締めくくった。

らに、最後のアンコールではこの日の出演者・ゲストがステージ上に全員再登場し、ザ・バンドの大名曲「アイ・シャル・ビー・リリースト」を日本語詞でカバー。そう、この日の還暦リサイタルは、紛れもなく“神戸ロック”版『ラスト・ワルツ』なのだった。
text /Hidesumi Yoshimoto

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