新神戸オリエンタル劇場
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『0(ゼロ)からの風』は、かけがえのない一人息子を交通事故で突然奪われたある母親が、軽すぎる刑法と厳しい社会の現実に立ち向かった末「危険運転致死傷罪」の新設を成し遂げたという、実際の出来事に基づいて作られた映画である。
に先立たれ、一人息子の零と2人で支え合いながら暮らす圭子。零は念願の早稲田大学に入学したばかりで、未来に夢と希望を膨らませる19歳。ところがある日突然、零が飲酒運転の暴走車にはねられ命を奪われてしまう。深い悲しみと絶望で呆然とする圭子。しかも加害者の男は飲酒運転かつ無免許、再犯だったにも関わらず刑期はわずか3年だという。交通犯罪のあまりにも軽い刑罰に怒りと疑問を感じた圭子は、刑法改正に向けて立ち上がる。

の日から法律の勉強を始め、署名運動のために街頭に立つ圭子。徐々に全国から同じ思いを抱く家族たちが集まり、活動は本格化していく。同時に、「生命の重み」を人々に伝えるため、悪質な事故や事件によって亡くなった人たちの等身大パネルを展示する「生命(いのち)のメッセージ展」を企画、開催した。さらに圭子は、零の夢を叶えるため、自分も早稲田大学を受験することを決意する。
やがて、2年にわたる彼女たちの努力は実を結び、「危険運転致死傷罪」(最高刑期20年、併合加重の場合は最高30年)の新設を成し遂げた。ついに国を動かしたのである…。

盤で、刑期を終えた加害者・野崎が圭子の家を訪れるシーンがある。心から謝りたいと涙を流して許しを乞う野崎に対して、圭子は許すつもりはない、と辛辣に言い放つ。
「悪質な事故は再犯が多い。だから、私たちは何と思われてもいい。これからも憎しみをぶつけていきます。そうしなければ悪質な犯罪はなくならないのです」
確かに刑法の厳罰化は現実の犯罪数を減らすことにつながるかもしれないが、その前に一人ひとりが交通事故の悲惨さや、生命の尊さを認識しなければ、根本的な解決にはならない。だから圭子はあえて憎悪の感情を抑えず、ストレートに表したのだろう。観ているこちらの心にも突き刺さるような痛烈なシーン。だからこそ、意味があるのかもしれない。

画全編を通して事故の悲惨さを改めて認識できたと同時に、最後は哀しみから立ち直り、息子の人生と2人分生きることを誓う母親の強さや愛の深さに心を打たれた。

画はすべて寄付金や協賛金によって運営され、2年間にわたり全国各地で上映される予定。協賛企業の自動車会社をはじめとする多くの企業や学校では教育研修として上映され、人々に改めて交通事故に対する注意喚起を呼びかけている。上映後の寄付金は、この映画のモデルとなった鈴木共子さんが主催する「生命のメッセージ展」の活動資金に当てられるそうだ。
現在、鈴木さんは「生命のメッセージ展」の等身大パネルのメッセンジャーたちと共に全国を移動、各地で生命の重さを訴えている。この活動を通じて、被害者の家族の心の救済や命の教育も成されているという。
 
text /Miho Nogami

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