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一人息子との時間を作るため、現役からの引退を決意した日本の凄腕エージェント、サナダ。彼に与えられた最後のミッションとは、各国を代表するエージェントたちが一堂に会し、その技術を競い合う影のオリンピック、「R-7」に参加し、優勝を勝ち取ること。各国首脳の自尊心がぶつかり合うこの大会は、単なる技の競い合いにとどまらず、その後の各国の力関係にも大きな影響を与えることもあるのだ。各国を代表するエージェントたちが集うヨーロッパの古城。そこでサナダは多くの好敵手、また、かつて師と仰いだ人物と久しぶりの再会を果たすことになる。
そして開幕した「R-7」。その初日の夜に開催されたレセプションで「事件」は発生した。一発の銃声が、伝説的なスパイでありサナダの師でもある英国代表、ボンド卿の命を奪ったのだ。その事件を皮切りに、会場に集まったエージェントたちの間には猜疑心が生まれ、やがてそれは、それぞれの生き残りを賭けた死闘へと発展していくことに…。
劇団赤鬼、今年のクリスマスプレゼントはサスペンスとアクションの要素がたっぷり詰まった、ハイテンポな物語。あらすじだけ見るとかなり暗く、重たい話を想像してしまうが、随所にちりばめられたコミカルなシーン、サナダと息子のショウタとの回想シーンから伝わるセンチメンタルな雰囲気などが、うまくバランスをとってくれて、暗いだけのお話で終わってしまうことはない。各国を代表するスパイたちの、それぞれの「得意技」を駆使したアクションも楽しめる。
妻とは別れ、しかもエージェントという激務に就くサナダにとって、大事な一人息子との溝の広がりは何よりも辛いもの。そう、国家の存亡よりも父と子の絆の方がはるかに大事なものなのだ。その思いに耐えきれなくなったサナダの決心が、サナダをこれまででもっとも過酷な任務へと導いていくことになる。その中でサナダは何を思うのか、そして「R-7」に集結した各国のエージェントたち、それぞれが自分の任務に対して抱く思いとは何なのか、そして一発の銃声の裏に潜む、さらに大きな真相とは…。
激しいダンスを含んだアクションの連続で突っ走るドラマだが、その内側には、それぞれの国を代表して集まった、冷酷非情であるはずのエージェントたちの、ひとりひとりが抱く共通した感情が存在しており、それがドラマに深みを与えてくれる。それは一言で言うなら「家族への思い」、といえるだろうか。兄弟への、母親への、子供への、さらには故郷への思いは、国家の繁栄や威信などよりもはるかに強く、人を動かす力になるのだ、というメッセージとなって私たちに伝わってくる。
過酷な戦いの果てに待っているもの、それはもしかしたら完全なハッピーエンドとはいえないものであるかもしれない。それでも人は家族のためならいつでも命を賭けて戦うことができるのだ、というメッセージが静かに伝えられるラストシーンは、とても印象深いものだった。
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